ゴッドネス・ティア

カーディガンとヒサノに挟まれて寒くはないが……


………なかなか恥ずかしいぞこの恰好。





「……ヒサノ、そろそろ離れてくれない?」


「………………」



……返事がない。


話かけたのに無視されることほど虚しいことはない。


怒っているのか、

否、

あまりの不細工顔をレオナ達に晒したくないのか…。



どっちにしろ、今痛むこの体でヒサノを支えるのは簡単に見えるかもしれないがかなり辛い。

苦しくて息がしにくい程だ。


実際ヒサノは重くない方だし、どっちかというと細くて軽そうなのだが、今のレオナの状態では軽いも細いも関係ない。






とにかく、



重い。







「ヒサノさーん聞いてます?
無視しないでくださーい寂しいでーす。
……………え、マジで無視?おまえこんなに俺が虚しい思いしてんのに無視?
無視ですかー?おーい」


「……………………レオナ」


「なんだよスノーリア。俺は今ヒサノさんに話しかけてんの、俺を清々しくスルーするヒサノさんに。
俺初めて知ったよ、無視されることって蹴られて殴られて罵られて嘲笑われるより虚しいんだな。
俺また一つ大人になったわ、大人の階段一段登れたよ」


「………………………いや、レオナ。
ヒサノをよく見てみろ」


「…あー?」





虚し過ぎる気持ちのなか、なんか口うるさいスノーリアの言葉を聞いてヒサノの手をそっと離してみた。


そのまま顔を覗き込んでみる。















「スコーーーーーー……」
















「…………………ぁ」


「安心したのだろう。
寝かせてやれ」









ヒサノは夢の中でした。