ゴッドネス・ティア

「え、なに?なになに?
なんでこんな展開になるわけ?」



痛む背中や腰を庇いながら上半身を起こし、レオナの首にしがみついたまま離れないヒサノの背中をまるで赤子をあやすようによーしよしよしと摩ってやる。


正直重くて苦しいが、今の雰囲気でそれを言ってしまうといつも以上に張り切った拳がとんできそうなのでそこは言わない。


そのかわり椅子に座りレオナ達を腕を組んだまま黙って見ている羨ましい程の美形にこの状況の説明を尋ねた。



「…………レオナがうなされていたから?」


「なんで疑問系なんだよ」



目が合うと首を傾げたスノーリアに、苦笑いを浮かべる。

スノーリアは明らかに寝不足のようで疲れきっているみたいだ。


目の下にくっきりとしたクマがあるのが証拠だ。



「……体が痛むのか?」


「……まあね。
ちょっと痛いかもな」



スノーリアに聞かれて答えたが、本当のところはちょっとどころではない。


ヒサノの腕がまわっている首は、今首をまわせば素晴らしい関節音がしそうだし、
目なんて痛いのに加えて濁るようにぼやける。
おまけに腰なんてギックリ腰とはこういうものなのかと勘違いしそうな程大変な痛みだ。



はい、痛いです。

めっさ痛いです。

助けてクダサイ。



なんて言えたら楽なのだが、どういう訳かどうしても言いたくないらしい。


彼の場合、

みんなに心配かけたくない。


とかいう悲劇の主人公的な神経は持っておらず、ただ何となく言いたくないのだろう。


自分でも意味がわからないが、彼の場合はただの意地だろう。