気持ち悪い……


吐き気が、頭痛が…



ぐるぐるぐるぐるぐるぐる……



苦しい。

頭が、胸が…




すると、急に痛い程の耳鳴りが。


耳鳴りのせいでさらに頭痛が酷くなる。



そして、気付いた。





耳鳴りと一緒に、聞こえる


聞き慣れたあの歌……








――赤いお姫様には
 愛しい人がおりました

  愛しい人は美しく
 国を揺るがす罪人で

  愛しい人に口づけを
 白い罪人と旅立ちました

  赤いお姫様と白い罪人
 一緒に暮らし幸せで


  最期まで共に
 愛しい人と共に


  赤いお姫様は
 眠りにつきました――








大好きな、


赤いお姫様の歌。



母がよく歌う、


美しい歌…………












でも、母の声じゃない。



母はレオナの状態に全く気付いてないようで、いまだに大人達と雑談を楽しんでいる。




大人達にはこの歌が聞こえないのか……?










とうとう頭痛はピークに達し、







幼きレオナは意識を手放した。









最後に聞こえたのは、


やっぱりあの歌………




母の声ではない、知らない女の人の声で歌われる、




美しい美しい、













………悲しい子守唄。