ゴッドネス・ティア

「いやー本当久しぶりだなー！
やっぱり我が家が１番！
王都に泊まりがけの仕事はキツイもんだ」



そう言いながら我が家へ足を進めるのは父であり夫であるクラウス・オラトーレ。


まだ２５歳という若さで妻子持ちというのは命の危険がありありな国王騎士には珍しいことだという。


父は仕事と合間をぬってこうやってたまに帰ってくる。


夫として理想であり、妻としては誇らしいだろう、多分。



「お父さんどうしたの？明日帰るって言ったのに…」


「ははは、パパちょっと早くに仕事が片付いてなぁ、早く帰って来れたんだ。
嬉しいだろー？」


「うん！！！」



そう力強く頷いてギューッと母と同じくらい大好きな父の剣ダコだらけの手を握った。


父は暖かい。


オーラが…存在そのものが柔らかくて、穏やかな気持ちにさせてくれる。

そこが少し母と似ているかもしれない。



「そうそうアメリス、今日はお客がいるんだ」


「…お客様？」



ふと、父が母に言った。

母は不思議そうに首を傾げる。


それを見て父は母の細い首に腕を回し、楽しそうに囁いた。



「ああ！俺もう少しで引退だろう？
それを祝いにテリーとリアが来てくれたんだ！」



瞬間、母の可憐な表情が驚きへと変わる。

レオナは理解不能な人名と話題にとりあえず耳を傾けた。



「まあ…それ早く連絡くれればよかったのに…。
私何も準備してないわぁ…」


「全然大丈夫だよ。
二人が高い酒を持ってきてくれたし、
アメリスのつくる料理は全部サイコーだから！」


「ふふ、…あなたはお上手ねぇ」



そう言いながらも嬉しそうに微笑む母が見えた。