ゴッドネス・ティア

その後、レオナ達は足速に村へと帰るために歩みを進めていた。


それは大好きな父に会うため。

アメリスにとっては愛する夫に会うため。


二人は無言でパオーレの門をくぐった。



アメリスは昔から、不思議な人だった。

不思議というか、感覚が優れているというか。

アメリスがふと口にする予知は必ずといっていい程当たる。


何故かはわからないけど、慣れっこのレオナは気持ち悪がることもせずいつもながら関心していた。


明日には帰る、と父は連絡してきたのに、どうしたのだろうか。

一日早く帰ってくるなんて、なんて珍しい。













早歩きで我が家、オラトーレ家の前に着いた。


父が騎士という大きな仕事をしているからか、家は一般よりもやや大きい。


木造で美しく作られた我が家は暖かな印象をもたせる。


だが、目的である父の姿がない。


珍しく母の直感というものが外れてしまったのだろうか…。




「お母さーん。お父さんいないじゃーん」



レオナがそう頬を膨らませて母を見上げると、母は悪戯っぽく笑み、レオナの赤い髪をすいた。



「大丈夫よ、お母さんの感は外れないんだから!」



そう明るく言い放つと、レオナの髪をくしゃくしゃと撫で回した。


楽しそうだが、やられた方は結構迷惑。

ボサボサになった我が髪をムスッとした表情で直していくと、



…………母の頭上に何か見えた気がした。