ゴッドネス・ティア

「お母さん思うんだけどねぇ…ジャン君そこまで悪いこじゃないと思うのよぉ…」



ぷちーん、

なんかキレた。


このふわふわした雰囲気の中で、

自分の中から物騒な音が聞こえた。



「お母さんの馬鹿!分からず屋!!」


「ええっ!!」


「なんでそんなこと言うのさ!
ちょっとくらい僕に同意してくれたっていいじゃん!!」


「え、ええ〜〜?」



なんだかすごく、腹が立った。

なんでジャンの味方ばっかりするんだ。

僕の味方じゃないのか。


気付けばポカポカと母と叩いていた。



「なんでなんでなんでなんでだ〜〜〜!」


「痛いわレオナ!
暴力はダメよぉ!!」



本気で殴ってないよ。

だってお母さんだもん、

ジャンなら別だけど。


やっぱり僕は子供で、僕の小さな反抗は母の精一杯の制しによって幕を閉じた。





ぷくっと膨れっ面なレオナの顔を見て、アメリスは悲しそうにへにょんと眉を下げる。


それと同時にレオナの胸も傷んだ。



「レオナ、お母さんの話をね、聞いてね……?」


「………………………うん」



ゆっくりと、一つずつ確かめるように、

何故か母が思いの外真剣で、

少し驚いた。




二人が少し落ち着いた後、

レオナとアメリスは少し離れてしまった定位置に戻り、体育座りというなんとも謙虚な座り方でまたぽつりぽつりとまた雑談を再開した。