しばらく写真を眺めるソフィア。


だが、それは微かに聞こえた物音によって中断された。






この家の外から……だれかの足音がする。


こちらに向かってきているのかだんだんと大きくなっていく。


村人か……いや、この靴音は村人のものではない。


微かに足音に混じっている金属音…


明らかに武装している…。





(―――……なら誰だ…?)



手に持っている写真を素早く引き出しにしまい込み、外の気配に神経を研ぎ澄ます。



……靴音の金属以外にも金属音が聞こえる。


これは………















―――…剣だ。









重くて、長くて、

切れ味抜群の。






昔鍛えたこの感覚に全てを集中させ、


その歩き方のテンポ、

髪の量、

体重、





………こんな技量、朝飯前だ。







だが、その足音は聞いた事がある物だった。





誰だったか、など考えるまでもなく、そいつの名前と顔は瞬時に頭に浮かぶ。




間違いない、間違うはずがない。







奴の気配を確信し、ソフィアは驚愕の表情を浮かべた。

だが、それは苦痛なものではなく、懐かしむような…。




足音が、家の前で止まった。

ノックをしようとしているのか、服の擦れる音がした。




ソフィアは穏やかな笑みを浮かべた。






ノックを聞く前に、ソフィアはスタスタとドアに歩み寄る。


そして、反対側のドアに立っているであろう男に、笑いかけた。









「………久しぶりだな…」