動かすたびにギシギシと軋む痛む体を無理矢理動かし、激痛に耐えながら起き上がる。



「はい、……ただいま戻りました……」

「そうか」



相変わらずの冷たい態度。

自分に目も向けてくれない。



…………悔しい。



スーは知らず知らずのうちに自らで拳をにぎりしめ、唇を噛み締めていた。


爪が皮膚に食い込み、…血が滴る。

唇も同じように、血がにじんだ。


だが、それもこの暗さでは見えない。


相手の輪郭を確かめるのがやっとだ。



「ところでスー、涙の石はきちんととってきただろうな?」



やっとこちらを見たかと思ったら、その話題か…。

自分と同じ…暗い暗い菫色の瞳がこちらを向く。


………その瞳にも憎悪を抱く。


そして、


…………恐怖を。





「……はい、今こちらに…」



涙の石を入れたマントのポケットをあさる。


涙の石が…………















…………あったはずなのに…。

















「…………どうした、早く渡せ」






どうしてだ…?


どうして………

















―――入れたはずの場所に涙の石がないんだッ!!