ゴッドネス・ティア

レオナは震える手で剣を構えた。


丸腰な相手に…何故こんなに震えるのか。


スーは…不気味な笑みを浮かべてそっと下ろしている右手を上げる。


その手は、カタカタと鳴る剣の刃を…直で掴んだ。

ぎょっとレオナが目をむくと、スーは楽しそうに鼻で笑い、手は刃を伝って……柄を掴んでいるレオナの手に到達した。


スーが手に触れた瞬間…その冷たい手はレオナの全身に広がり、……まるで凍り漬けにされているような感覚だった。


何故か、動けない。

手を、振り払うことても。


スーの手は…そのままレオナの剣の柄を掴み、…地に落とした。


…………丸腰だ。



レオナは顔面蒼白のまま、自分と同じ程の背丈のスーを見上げる。


……まるで見下ろされている感覚だ。


相手も丸腰なのに…何故自分はこんなにも怯えているのか…。



スーのその凍りのような手はそのまま北上し、

レオナの頬を撫でた。





ゾッとする程…冷たい。




……声もでない。





スーは不敵に笑んだ後、あいている左腕をレオナの背中にある大木に押し付けた。

自然と近くなったレオナの顔を見て、更に不敵に、不気味に微笑む。



そして、……耳元で囁いた。









「憎くはないか…?母を殺した奴が……」














声ではなく、ただ息で喋るような。

恐ろしいほど不気味な笑みと、

その肌をはいずり回るような囁きより、














その言葉は、


残酷で。