正直人の死に際を見るのは…避けたいことだ。
そのときのおびただしい血の量と鉄のような血生臭い匂いは…耐え難い。
何度も何度も見てきたし、何度も何度もこの手で、体を切り刻み、首をはね、胴体を真っ二つにした、……この手で葬ってきた。
だが、やはり慣れない。
慣れてしまったら……終りのような気がする。
華蓮とル・メイは…少年の最期をしかと目に焼き付けようと、本当は閉じていたい瞼を懸命に開けていた。
―――だが、思わぬ出来事が。
「――ッ逃げろ!!」
やっとメルスの墓に着いたかと思ったら…いきなり誰かが襲いかかってきた。
しかも、かなりのスピードだ。
本当に生きてる生物なのかって疑いたくなるくらいその速さも、……その憎悪に歪んだ顔も…狂ってる。
目の前の変な恰好してた奴とその隣にいる女が自分を見て叫んでいるが……こんなスピードの奴前にして逃げられるわけない。
……しかたない、まだ旅に出て一度も抜いたことはないが…
腰に刺さっている…実の父の剣をそっと撫でた。
…あいつがいなくなってから、血の滲む思いで修業してきた、…ヒサノやアランに隠してまで…。
いや、…ヒサノやソフィアにはすぐにバレてしまったのだが。
―――クラウス…借りるぞ。
いまかいまかと迫りくる敵を見据えて、レオナは…ニヤリと唇端をつりあげた。
「………あんまナメんなよ」
旅に出る前以来の剣の柄の掴み心地は…意外としっくりきた。
頭上で敵の金物が風を切る音がした。
敵のものとは違う金物が抜かれた音がした。
その直後、
ギンッ!!!
金属と金属がぶつかり合う凄まじい音が、広間に響いた。
そのときのおびただしい血の量と鉄のような血生臭い匂いは…耐え難い。
何度も何度も見てきたし、何度も何度もこの手で、体を切り刻み、首をはね、胴体を真っ二つにした、……この手で葬ってきた。
だが、やはり慣れない。
慣れてしまったら……終りのような気がする。
華蓮とル・メイは…少年の最期をしかと目に焼き付けようと、本当は閉じていたい瞼を懸命に開けていた。
―――だが、思わぬ出来事が。
「――ッ逃げろ!!」
やっとメルスの墓に着いたかと思ったら…いきなり誰かが襲いかかってきた。
しかも、かなりのスピードだ。
本当に生きてる生物なのかって疑いたくなるくらいその速さも、……その憎悪に歪んだ顔も…狂ってる。
目の前の変な恰好してた奴とその隣にいる女が自分を見て叫んでいるが……こんなスピードの奴前にして逃げられるわけない。
……しかたない、まだ旅に出て一度も抜いたことはないが…
腰に刺さっている…実の父の剣をそっと撫でた。
…あいつがいなくなってから、血の滲む思いで修業してきた、…ヒサノやアランに隠してまで…。
いや、…ヒサノやソフィアにはすぐにバレてしまったのだが。
―――クラウス…借りるぞ。
いまかいまかと迫りくる敵を見据えて、レオナは…ニヤリと唇端をつりあげた。
「………あんまナメんなよ」
旅に出る前以来の剣の柄の掴み心地は…意外としっくりきた。
頭上で敵の金物が風を切る音がした。
敵のものとは違う金物が抜かれた音がした。
その直後、
ギンッ!!!
金属と金属がぶつかり合う凄まじい音が、広間に響いた。



