ゴッドネス・ティア

「おーい、大丈夫か?」



通せん坊をした恥ずかしい恰好のまま華蓮の正面の草陰から……声の主と呼べる少年が現れた。


見た途端…華蓮は驚愕の表情を浮かべ、……目を丸くした。




…………言葉を失う、とはこういうことなのか、とわなわなとする唇を片手でおさえる。



少年は静止した自分を見て不思議そうに首を傾げ、苦笑いを浮かべた。



「……なんだその恰好…、……ギャグかなんかか…?」



……その発言も気に食わないが、それより、そんなことより……








――その不気味な髪色はなんだ…?












少年の髪は、血のように毒々しい…赤。

よく見れば瞳も…同色だ。




正直……気味が悪いというか…不気味だ。
















「―――――……レオナ……オラトーレ……」





ふと、掠れた…不気味な唸るような声が聞こえたかと思うと、……後ろから風を切るような音がした。






―――――速いッ!!





華蓮とル・メイは事の事態にいち早く気付き、ル・メイの…短剣とナイフを構えた。


ル・メイのほうは大丈夫だが……華蓮は扱い慣れていないナイフでどうなるか正直不安だった。


あまりにも速い、風のような速さに体に緊張がはしり、……強張る。


それでも自分達は…国を代表する国王騎士だ。



――――来るッ!!



覚悟して、身構える。


さあ、来るなら……来い。










だが、スーは自分達の存在を忘れたように、横を…風が過ぎ去った。