「いや…だからなんで壊すんだよ!
すっげぇ貴重品じゃねーのか?!」



だって10000年前からあるしかも女神の石だぜ?!


これを売るっていったらいくらぐらいするのだろうか。


恐くて値段聞けないが。



「えぇ…、貴重といえば貴重なのですが…。
はっきりいって邪魔なのです。
いえ…この世にあってはいけない物?ですかね。」

「だからなんで…?」



ファンの焦らしように段々イライラしてくる。



「『血の石』はメルスの血で出来てているのです。
そしてメルスの憎しみの塊でもあります。
『涙の石』はメルスの涙ででできており、メルスの悲しさの塊でもあるのです。
何を憎しみ、悲しんだのはわかりませんが…。
その石を利用しようとしている者がいるのです。
誰かは知りませんがね。」



そう言いながらよっこらしょと床に座る。


しかも胡座で。


ファンは手を使って床に座れとジェスチャーする。


座ると本当に近いので緊張してきた。



「利用って…そんな石どう利用するんですか…?」



つい敬語になってしまう。


しかも近いのでかなり小声だ。


先程のレオナは何処へいったのやら。



「その石は融合させることができるのです。
融合させるとどうなるかわかりますか?」

「憎しみと悲しみの塊の石?」

「僕もそう思う」

「二人共違いますよ。」



ファンのかわりにヒサノが答えた。



「石ではなく、メルスになるのです。
憎しみと悲しみの塊のメルス…。
それは強大な力を持ち、世界を滅ぼす。
でしたよね?ファン様。」



説明を終え、不安げにファンを見る。



「そうですよ、ヒサノは優秀な子で助かりました」



ヒサノに向かって優しく微笑んだ。


ヒサノは嬉しそうに顔を赤らめてホッと顔を綻ばせる。