ゴッドネス・ティア

とめどなく流れる血を止めようともしないでふらつきながら自分達を見下ろす男の目は……もう生きている者とは思えない程醜い憎悪に満ちていた。


華蓮の愛剣を引きずり、地に傷をつくってリュンマに向ける。


リュンマはその大きな目を細めた。



「………きもーい…」

「……ちょッ…それ禁句…!」



突如発したリュンマの空気読めてない発言にサロナは冷汗タラタラ。

もともと怒りと憎悪に満ち溢れていたスーの表情に怒りの感情が増幅される。



「………おまえのその口…引き裂いてやる……」



……リュンマの発言により、スーの獲物が変更された。

もとの獲物である華蓮とル・メイに見向きもしなくなる。


そのころ、リュンマとサロナはコソコソと小声で話し合いを開始していた。



「ほらっ、あんたがあんなこと言うから……!!」

「でも本当のこと言わなきゃ本人は気付かないでしょぉ…!それはこの先可哀相だと思って…」

「今はどうでもいいんだよそんなこと…!
それにきもーいじゃなくて、相手が傷付かないように、不気味とか気味悪いとか気色悪いとかもっと言葉を選びなよっ!!」

「それもなかなか傷付くよね!!」



……スーのこめかみに青筋が浮かんだ。


この二人は相手に会話が聞こえていると気付いていないのだろうか…?



遠目で見ている華蓮とル・メイは命の恩人と愛する先輩を焦り狂う心情でハラハラと見おくっていた。