ゴッドネス・ティア

わけがわからない。


さっかまで、殺る気満々だった幸薄そうな男が…

自分達が本気を出そうかと考えた程の強敵が…


いきなりやってきた見覚えのない閃光に刺されて地に伏している…。


刺された右足のふくらはぎからはおびただしい程の血が流れ、奴の灰色の衣類を赤に染め上げていた。



華蓮とル・メイはただ呆然と強敵であった男を見下ろしていた。


かける言葉も見つからない。



「ぐぁぁああっ！ぅぐぅぅうぅぁああｯ」



苦しそうな…悲痛な呻き。

先程の余裕ぶりからは考えられない展開だ。



木々がざわざわと今まで以上に、うるさいくらいにざわめいて…なにか気味が悪い……。




目の端にいたサロナと目が合った。


何故か彼女は穏やかに微笑んでいる。


彼女の視線はおかしなことに今大注目を浴びているはずのスー…ではなく、なんの変哲もないただの草村だった。


……彼女の唇が動いた。


だが、スーの呻き声により、それは掻き消され、空気中に溶けていった。




ふと、サロナの視線を追って、草村を見た。


……よく見れば…ガサガサとまるで草を掻き分けるような音を発しながら風ではない不自然な動きで揺れている。



…一瞬その動きが止まると……













……なにかが勢いよくとび出した。