ゴッドネス・ティア

閃光は目にもとまらぬ速さで目の前を突っ切り、


吸い込まれるように、獲物へ向かう。


ハラハラと巻き込まれた数本の髪が地に舞い落ちた。




閃光は獲物へ迷うことなく、一直線にのび……








………やがて、丸腰の足に深々と刺さった。








獲物は驚愕の表情を浮かべ、ただただ目を見開くことしかできない。




「―――ぐぁぁあああっ!!」



閃光はなぜか消え去り、閃光が先程まで深々と刺さっていた傷だけが獲物…スーの足にのこった。


出口を見つけた鮮血はその小さな深い穴からとめどなく流れだし、衣服を赤く濡らす。



華蓮とル・メイはつい先程おきた瞬時の出来事に目を丸くして佇むことしかできない。


先程まで余裕に余裕をかましていた強敵が…たったの一撃で地に伏している。



「……なんてこった…」

「……うん、なんてこっただね…」



目も合わせず、ただお互いの服の端を握り、頷きあう。


こんなにも息がピッタリなのに普段の喧嘩はどうゆうことだろうか。



「あああぁぁあッぐぁあぁ…うおぉおぉぉぉおおお―――」



森中に、男の低い呻き声が木霊する。

まるで、自然界の怒りの象徴のような…






草陰で…何かが動いた。


あの閃光の…主人である者だろう。




「どうやら…お客様のようだね…」





そのサロナの穏やかの声も、呻き声に掻き消された。