「なんだ、お前等…、また馬鹿やってんのか…?」



レイの馬鹿っぷりに溜息をついていると、壁の影からぬっと現れた人影。


窓から入り込む光に照らされると、奴の顔がくっきりはっきり見えた。


つんっとつった目端に、ピョンピョンと無造作に跳ねた黒髪。
額にはその髪に溶け込むようにして巻いてある同色のバンダナ。
その顔立ちはなかなかの美形だ。


またしても、自分より20㌢は視線が上な男にウィルは目だけ移す。



「まぁ〜ことぅお〜〜!」


「真琴、いたんだ」



男が現れたことに嬉しそうに顔を綻ばせるレイ。
それに反してウィルはそっけなく、表情をピクリとも変えない。



「レイ、お前はいっつもウィルにあしらわれてるんだから少しは学習しろよ…」


「まったくだね、こっちは迷惑極まりない」


「………二人、くるねぇ…」



ここの男共に優しさというものはない。
学習しないというより微かな望みを託しているのだが、それも気付かれない。

ついにしゅーん、と肩を落としてしまったレイにまたしても二人は溜息をついたとか。