「あぁ〜…眠い…」



今日は快晴。

洗濯物を干すにはうってつけ日和だ。


そんな天気の一日の朝に俺は怠そうに大きなあくびをした。

相手の気分を害するかなんて知ったこっちゃない。

こっちはとにかく眠いんだ。



「…ふぁあ〜…」



レオナはまたも口を覆わずにあくびをした。

今日の馬番は順番がまわってきたレオナで、ムンマの大きな脂肪分タップリの背中に偉そうに腰を下ろしている。


そんな怠そうなレオナにつられてか、ムンマもレオナに負けないくらいの大あくびをした。

いつも潤っているつぶらな瞳がいつもよりキラキラと輝きを増している。


そんな見るだけで暑苦しいムンマを目の端に入れながら、レオナはまた怠そうにもう一人の馬番を見上げた。



「スノぉおリア…」


「………なんだ」



また彼もめんどくさそうに口を開いた。

カタコトとリズムよく揺れる馬車の壁に身を任せ、腕を組んで顔を伏せる彼もまた麗しい。

美形って何をしても暑苦しくないのがいいところだな、と弱冠羨ましくなるが、それは置いといて。



「魔女の村まであとどれくらいだ?」


「…今日中には村に入れるだろう、そう焦るな」



べつに焦っていたわけではなくて早く馬番を終えたいだけだったが、それは口にしないでおいた。