ゴッドネス・ティア

今日は朧月夜。

月が怪しく光り、何か伝えようとしているかのよう。



「香月…どうだ?」


「もう大丈夫だ。あとは安静にしておけばいいだろう」


「……そっか」



レオナはホッと安堵の息をついた。







ケルサニオスを出た後、急いで馬車へ戻った一行は驚きのものを見た。

なんと、生き残りを運ばせるためにおいてきたスノーリアが平然と馬車内で茶をすすっていたからだ。

瞬間移動でも使ったのかと夢見がちなことを聞いてみたが、彼はただ口を閉ざすだけであった。


とりあえず皆、スノーリアは怪人だと分類したのであった。



「スノーリアって実は本物の怪人だったりしてね♪」


「そんなわけないだろう」


「あんっ香月にはロマンもクソもないのねえ」


「リュンマは黙ってろ」



いつも通りのやり取りを続ける二人組を無視してレオナは余分に置いてあった布団で眠る女の傍に座った。

規則正しい寝息が聞こえる。

よく見ると、とても綺麗な女性だ。


リュンマに負けない美貌を持っている。

リュンマとはジャンルが違うと思うが、この女性ならいくつもの男性を虜にできるだろうと思う。


ふと、女の耳からぶら下がっている肩まである長ったらしいピアスに気がついた。



「邪魔だな…」



手にとってみると、貝殻のようなもので作られたのかピアスはとても軽かった。

軽くても邪魔だろうと淡い桃色の長いしっとりとした髪を耳にかける。


だが、驚きのものを見てしまった。



「……なっ?!」

「どうしたのレオナ?」

「どうかされましたか?」

「何かありました?」



レオナの驚きの声に、アラン、シャラン、ヒサノが背後からひょっこりと顔を出す。



「えっ?!こ、これは…」

「どうした」

「リュンマも混ぜて〜♪」



ヒサノが例のものを見て声をあげると今度は先程までやり取りを続けていた香月、リュンマがまたひょっこりと顔を出す。



「……な?!」



二人は同時に声をあげると、顔をしかめた。