ゴッドネス・ティア

すると、急に突風が吹いた。

ゴーッという音を響かせながら強く吹く、大きな風。

その風はル・メイを軽々と吹き飛ばした。



風に弄ばれながら木の枝や葉に絡まり、肌にいくつもの赤いラインが生まれる。



「―――っが!!」



飛ばされる最中、太い木に打ち付けられ、息が詰まった。

そのままズルズルと木を滑り落ち、体を地面へも打ち付ける。



「ル・メイ!!」



ちょうどサロナの立つ背後の木だったのか、サロナがすぐに駆け寄って来た。



「だ、大丈夫…」



打って一際痛みのある腰を摩り、スーを見上げる。睨みをきかして…


だが、すぐ鼻で笑われた。






「……今度ナメたまねしてみろ、……今の痛みじゃ済まないからな」



目が合い、さらに睨みをきかせた。

だが、あの哀れで、暗く、恐ろしい目を見るとどうしても怯んでしまう。


スーは術を使い、風が拳を包む。

だんだんとそれが大きくなり、風はスーの体全体を守るように包み込んだ。