「…そんな…っ」


「ヒサノ、しかたねぇよ…、香月の言うとおりだ。
行こう」


「……はぃ…」



まだ納得がいかないヒサノだが、一応わかってくれたらしい。


レオナの言葉にゆっくりと頷き、震える自身の肩を必死に手で堪えていた。



「じゃ、香月戻ろうか…」


「…あぁ、いいのか?」


「よくねえと思うけど、しかたねぇ。」


「そうか…」



レオナが同意してくれたのにホッとしたのか、安堵の息を吐いて疲れたようにこめかみを押さえた。


よく見れば目の下にうっすらクマができ、頬が微かにこけている。


相当疲れているのだろう。


本当はこの村ケリサニオスで休息をとるつもりだったが、さらに疲れを増やしてしまったみたいだ。


なんだか申し訳ない。



「よし、行くか…………っ?」



早めに戻って国王騎士達に出来るだけ休んでもらおうと足を進めたレオナだが、足に違和感が。


何かあたっている。


急にぴたりと静止したレオナを不思議に思い、ヒサノが顔を覗いて来た。



「?…どうかしましたか、レオナ?」


「…なんか足にあたってる…」


「足ですか…?」



レオナは自身の足元に目をやった。


さっきのこともあるから恐る恐る…


だが、よく見えない。



「見えねぇな…」



よく見て確かめようと腰を下ろしてしゃがもうとしたときだった。


あたっているものが、微かに温かい…?


そんな気がした。


何故温かいのか、と脳をぐるぐると回転させてふと思った。







「………生きてる…?」