「痛いよ!!」



痛そうに背中をさすりながら涙目で睨まれた。



「す、すんません…」

「まったく………。
まあ、とりあえず性格については何も言わないでおこうね。
教会で色々あっただけだと思うからさ……」

「ああ、了解」



二人は頷き、ヒサノの方へ戻って行った。

清々しいほどの作り笑いを浮かべて。


教会の扉に目立つプラチナブロンドの少女がいた。


地面の割れ目から生えている一輪の花を暇そうに眺めている。


その姿を見つけたレオナは小さな溜息をついた。


一年前から、大分変わってしまった。


一年前まで擦り傷切り傷が後を絶たなかった肌は色白で傷など一つもなく、少し曲がったお悩みの背中もしっかり改善されており、まるで…



「うーん、巫女ってかんじ…」

「だから巫女だって」



戻って来た二人を笑顔で迎えるヒサノが見えた。



「何の話だったんですか?」

「……内緒」



そう言うとヒサノはつまらなそうに頬を膨らませた。



「てか、何でおまえがここにいんの?」



先程がずっと聞きたかったこと。


ヒサノは膨れっ面を止め、不思議そうにレオナを見上げた。



「それはこちらのセリフです。
何故レオナとアランがいるのですか?
女ならまだしも男!
ファン様がお許しになられたのが不思議です」



両手を腰にあて、踏ん反り返るヒサノ。



「呼ばれたんだよ、そのファン様に。
…そうだよな、アラン?」



そう言うと、ヒサノの視線はアランに注がれた。



「僕聞いたよ!
ファン様の伝言だからレオナを連れて教会へ来いって!
白くてきれいな服で…ヒサノが今着てる服だったから巫女だと思う!」



ヒサノが着ている神衣服を指差すが、ヒサノに会えた興奮がまだ抜けてないせいか必要以上に声が大きい。