ゴッドネス・ティア

「………………………」



その場に二度目の沈黙が降りかかる。

次にそれを破ったのはアランだった。



「レオナ最悪！
空気読めよ！！」



いきなりのアランの不快な言葉にレオナはだらしなく口をポカンと開けた。



「ちょっと……」



アランはこっちに来いとレオナを手招きして呼び寄せた。

そしてヒサノには優しく微笑んで耳打ちする。



「ちょっと行ってくるから、待ってて」



それに理解したように頷いていってらっしゃいと手を振るヒサノ。

レオナは手首を掴まれて少し離れた木のそばまで連れていかれた。


着いて早々、



「ちょっとレオナどういうつもり？！」



怒りを含んだアランの声。

１５にもなって１１歳から説教か…とレオナは自分を哀れむ。



「別に、正直に思ったことを口に出しただけなんだけど」



うるさいな、と冷たく言い返すが、アランが鋭い目で睨んできたので、しょうがねぇな…と溜息をついた。



「だってよ…、お前もそう思わねぇ？
一年前と性格真逆だぜ？
去年まで村の男子と普通にケンカしてたんだぞ？
今見たらなんかあのヒサノは幻覚でしたとしか言いようがないかんじになってるだろ？」



ヒサノは本当に全く変わった。

あのどちらかといえば男らしかったヒサノ。


今では面影もない。


顔をしかめるアラン。


うわ、またなんか言ってくるぞと覚悟をしたときアランが口を開いた。



「実は僕もそう思っててさ…。
でも、ヒサノに悪いと思って言わなかったんだ。
どんなことになっても、ヒサノはヒサノでかわりないから………」



アランは先程のでかい態度と打って変わってシュン…と肩を縮めた。



「アラン…いいこと言うじゃん！！」



いいムードをぶち壊すように出せと背中を軽く叩いてやった。

自分なりの敬意をこめたつもりだ。


が、思ったより力んでしまったせいか、パーンッといい音が辺りに響いた。