ゴッドネス・ティア

無意識に少女の包帯に手がのびていた。


見てはいけないとわかってはいるのだが、何故か止まらない。


アランの指が包帯に触れた。


瞬間だった。


何か白い物が動いた…、かと思うと、その何かを見る暇もなく、アランの体は宙に浮いていた。


浮く感覚を脳で感じる暇もなく、体を地面へ強くたたきつけた。


痛い、と感じた瞬間、今度は腕に、声にならない激痛が走る。



「つッ…!!」



「あなたは誰ですか?」



痛みを必死に噛み締めていると、頭上から潤いのないかすれた声がした。


痛みを堪えながら、声の方向を見る。


太陽が眩しくて眉をひそめないとわからなかったが、確かに彼女だった。


そう、さっきまでこんこんと眠りこけていた白髪の少女。


腕が痛いのは、少女が自分の腕を掴んでいるからだった。


どれだけの握力なのか…、考えたくもない…。


少女の表情を見ると、とても怒っているように見えた。


ごめんねぇ、あは☆
なんて言っても、絶対許してくれなさそうな…いや、何を言っても駄目そうだ…。


すると、腕を掴んでいる力が急に強まった。



「ぅあっ…!」



痛くて痛くて堪らない。このままだと腕一本持って行かれそうな勢いだ。



「あなたは誰ですか、と聞いているのですが」



「あ、アラン、ぃっ…ぼ、僕はアラン・クリスティン!ぃたっ…」



痛みに耐えながら必死に言葉を発するのがこんなにキツイなんて…、とにかくなんでもいいから早く腕を離してほしいと願った。