ゴッドネス・ティア

なんだか、記憶の中の誰かと似てるような気がする。


真っすぐにこちらを見てくるあの碧い瞳と目があった。


……一瞬脳裏に誰かが過ぎる。


幼い頃の…大切な記憶の中の―――……






レオナはハッと大きく口を開けて例の人を指差した。


例の人は不快そうに眉を寄せたがしばらくすると口をあんぐり開けて同じくレオナを指差す。



「え…?」



例の人は驚いたように大きな瞳をより大きくする。



「ヒサノーーー?!!」


「レオナーーー?!!」



「え、ヒサノ?!」



女二人組に目配せしていたアランが驚愕の表情を浮かべてヒサノと呼ばれた少女を見た。



「あらっ、アランじゃありませんか!
お久しぶりです〜」



ふんわりと笑みを浮かべ、嬉しそうに指を組む。

その姿はまるで天使のようだ。


一方、その異常な光景を呆然と見ている女二人組の心情は荒れ狂う波のようだった。


リリオ一の教会の巫女となる者がその辺にいる田舎の少年達と仲よさ気に話しているではないか。


不思議に思わないのがおかしい。



「ヒサノ〜〜〜!!」


「きゃんっ」



アランはヒサノに遠慮なく抱き着き、その反動でヒサノは女の子らしい小さな悲鳴をあげて勢いよく尻餅をつく。


女二人はヒィッと後ずさりし、もう嫌になったのかヒサノに、
「急用があるのでお先に失礼します」
と早口で告げそそくさと帰って行った。