「ね、ねぇ颯音?もうほんとに下ろして?」


「ったく…仕方ねぇな」


「仕方なくないでしょうよ!」



私がそう言うと颯音は素直に私を下ろしてくれた。


最初からこうしてくれればよかったのに…。




あっ…。

久しぶりの地面…。




「あ、いい忘れてたわ…」


「な、なに?」


私を下ろすと颯音がそう言い出した。


いい忘れてた?
なんだろ…。




「こいつ、俺の幼なじみ兼婚約者なんでよろしく!」


「はっ?ちょっ…なに言ってんの?」


「ほんとのことだろ?ほら、約束したじゃん。俺が世界一幸せにしてやるって」


「あ、あれは!」



颯音は私の肩を組みながら大きな声でそう言い放った。

なななななーっ!



こ、婚約者って!

だ、確かに約束はしたけど…。




だからってここで言う?

もう…。
さっきより廊下から見ている女子の視線が痛い…。



なんでこうなるの…。