私が暴れても絶対に下ろしてくれない颯音。
なんでこんなことに…。
「あ、あのさ…お取り込み中悪いんだけど…。亜依、誰?」
「え?あ…えっと」
颯音とそんな会話してたら、明日香が不思議そうに私に聞いてきた。
あ、そうだった…。
今は教室にいるんだった。
あたりを見渡すとみんながわたし達の方を見ていた。
うわ…。
男子までも見てる。
なにより廊下から見ている女子のみなさんの視線が痛いです…。
だって仕方なくない?
転びそうなとこ助けてもらったとこまではいいとして、下ろしてくれないんだもん。
「あ、いい遅れた。俺、橘 颯音(タチバナ ハヤト)。亜依の幼なじみ」
颯音は女子の視線など気にすることもなく、みんなに自己紹介をした。
切実に下ろして欲しい…。
颯音がよろしくと付け加えると、クラスの人もよろしくと言った。
なにより一番びっくりした顔をしてたのは明日香だった。
明日香は私の顔を見てニヤニヤと笑っていた。
少しは助けてよー。
