寝癖から始まる恋!?

 
放課後授業の為に借りていた本を返しに
図書室の行くと
中で誰かが話しているのが聞こえた。


「社会科が苦手。
歴史なんか大嫌いだょ。」

「えぇ…。私去年まで社会科嫌いだったけど
岡本先生が教科担になってから
分かるようになったよ?」

「私も。岡本先生になってから社会科
楽しくなったよ。」

どうやら杉本たちが社会科と
俺の教え方について話していた。
気付かれないよう静かにドアを開け
中に入る

「わかりやすいけど
なんでか苦手何だよね…‥。」

「わかりやすいのに苦手って
どう言う事だ?」

「盗み聞きするなんて先生変態~。笑」 

馬場がこちらを見て話す

「図書館なのに静かに話をしてない
お前たちマナー違反だぞ。」

指摘すると反省したようだ

「「「ごめんなさい。」」」

「分かればよろしい。
でさっきの話しの続きだが
どこらへんがわからないんだ?」

杉本に聞くと
小林と馬場が

「えっとね。数学の……」

「理科の………」

「ちょ、ちょっと待て。
俺の教科担は社会科だ。
数学と理科は森田先生と長門先生に聞け」

「えぇ……。」

「岡本先生に教えて貰いたかったのに…。」

少しの間落ち込んだようにすると
2人はノートを持って図書室を出た。

「おい。歴史どこがわからないんだ?」

俺は隣に座る

「えっと……。あの…。」

やはり今も俺を見ないようにしてる

「お前また顔赤いぞ?どうした?」

なにも答えない。

冗談でも言えばもとにもどるかも

「まさかお前俺に惚れたのか?」

「っっ!?!?」

なにも言わず顔をあげ

「す、好きですっっ!!!!」

と言う。

言った本人も驚いたような顔だった

俺は状況を把握するために
脳内をフル稼働にした。

「すまぬ。」

気付けば謝っていた。

「俺とお前は先生と生徒だ。
それに今は学校の事で手一杯だから
お前の気持ちには答えられない。
それに今のお前の気持ちは気のせいだ。
暫くすれば忘れるさ。」

……今日の俺はやはりどうかしてる。
生徒に“好き”だと言われて嬉しかった

「好きだなんて冗談に決まってるじゃん
私が寝癖星人を好きになるなんて
あるはずないでしょ。」

杉本は笑いながら話した

「だよな。ビックリしたぞ。」

俺がはじめに冗談を言ったのに
“冗談だ”と言われて
気分が落ち込んだ。

気まずい雰囲気にならないように
いつものように接した。

そうでもしないと俺の気持ちが気付かれる  

「今の説明でも分からなかったか?」

「ううん。
今までで一番わかりやすかった。
さすが先生。」

「だろぉ。俺様の教え方は最強だ。」

「先生俺様なんて言うんだ。
ちょっと意外。」

「なんだと?今日のお前の方が意外だった授業中のあの変な返事。
お前天然だろ。」

「明莉と秋那にも同じ事言われた。」

少し頬を膨らませながら話す様子が
子どものにように見えた

「拗ねるな。子どもみたいだぞ。」

無意識のうち頭を撫でていたが次の瞬間
シャンプーの匂いがした

……引き離さなければ

頭で思っていることと
自分がしていることが違っていた

「先生?」

「すまん。少しだけこのままさせてくれ」

「先生私先生のことが好きなんだよ?」

「わかってる。」

「先生と生徒だからダメなんでしょ?
学校の事で手一杯なんでしょ?」

……確かにそうだ

「………。」

「こんな事されたら諦められなくなる。」

「諦められなくていい。」

「えっ…?」

心を決め杉本から離れる

「学校では生徒と先生だ。
学校外でも人の目があるから
会ったり出来ないかも知れない。
それでもいいとお前が思うなら
俺と付き合ってくれ。」

振った相手に告白した

自分でも驚く程俺は落ち着いていた

「返事は?」

「はい。」

返事を聞くと

「結華好きだ。」

俺は初めて面と向かって
人に“好き”だと言った

凄く恥ずかしかったがなんだか
爽やかな気持ちになった
自分がどう思われているのか気になった

「お前はどうなんだ?」

「どうなんだってなにが?」

少し気が抜けた

「お前さぁ…。天然だ。」

「だから天然じゃなぃっ……」

話し終える前に頬にキスをした

徐々に顔が赤くなっていった

「なっ、なにするんですか!?!?」

「さぁ~。なんでしょう?
で、お前は俺様の事どう思ってるんだ?」

「先生の事?……好きですょ……」

“先生”と呼ばれ壁を作られたような気がした

「今2人なんだし一応
付き合ってるんだから名前で呼べよ。」

「岡本?」

さすが期待を裏切らなかったか……

「なんで名字なんだょ。
普通下の名前だろ。だからお前は………」

「裕平さん」

名前を呼ばれて固まった

「どうしたの裕平さん?」

「なんもねぇよ。」

その後も何度も名前で呼ばれる
かなり嬉しいが照れくさかった

「裕平さん」

呼びながら俺の顔を覗き込んできた

……今絶対間抜けな顔になってる

「裕平さん?」

呼びながら頬を指でつつかれた

「裕平さんのほっぺた気持ちいい 」

なにか仕返ししたくなった 
つついていた手を握り
固まっている結華の頬をつまんだ

「痛っっ。」

「お仕置きだ。」

「先生ってドSでしょ?」

「まぁな。」

話をしているうちに
小林の声が聞こえた

名残惜しそうな顔をしている結華に

「結華後で進路室に来い。」

「えっ?なんで?」

「連絡先知らないだろ?」

「うん。」


話しているとドアの開く音が聞こえた

急いで椅子に座り直してる

「疲れたぁ~。」

小林が椅子に腰掛けながら話す

「森田先生問題20問解終わらないと
帰っちゃダメって言うんだょ…。
頭パンクするかと思った……。」

「お疲れ様。チョコ食べる?」

鞄から取り出し小林に渡してる

「ありがとぉ…。これで生き返る…。」

「オーバーだな。俺にもくれ。」

「えぇ…。先生にはあげない。」

「なんでだょ。勉強教えただろ?」

貰えなかったのは残念だったが
いつもの結華に戻っていた。

「先生の教え方が悪かったんじゃない?」

3人で話してると馬場が戻ってきた

「楽しそぅ~。仲間にいれて。」

「俺そろそろ部活見に行かないと。
杉本帰りに進路室に寄るの忘れるなよ。」

ーーーーーー

スーツから着替えて部活の様子を
見に行った

……久々に体動かすか。

30分だけと思ってしていたが
1時間近く過ぎていた。

着替えず急いで進路室に向かうと
ちょうど森田先生が出てくるとこだった
  
『杉本さんさっきの謎なぞの答え
岡本先生から教えて貰って。
岡本先生も答え知ってるから。』

「謎なぞって?どれですか?」

『太郎くんが病院に行って……のやつ。』

「あぁ~。分かりました。」

『じゃぁ岡本先生お願いします。
杉本さんまた。』

「はい。また明日。」

森田先生は早口で話し終えると
小走りでどこかえ行かれた。


「すまん。待たせた。」

「別にいいですよ。」

「なんな冷たいな。とりあえずこっち来い
今携帯持ってるか?」

……待たせたから怒ってるのか?

「持ってるけど?」

ポケットから携帯を出しながら答える 

「赤外線で連絡先教えるから。」

引き出しから携帯を出した

「俺が先に送るから。」

“受信完了”

「じゃぁ次結華の教えろ。」

“送信完了”

「いつでも連絡してきて良いからな。
結華歩きか?」

「うん。そうだよ?」

「家どっち方面だ?」

「運動公園のある方。」

「俺ん家と方向同じじゃん。
俺ももぉ帰るから先に歩いとけ
途中で乗せて送っていくから。」

「いいの?」

「もちろん。じゃぁまた後で」

一緒に校舎を出て怪しまれないように

「先生また明日ね。」

「気つけて帰れよ。」

下校の挨拶をした。

いつもは挨拶なんかしないから
新鮮だった。

車に戻りスーツに急いで着替え
結華の後を追った

5分もしないうちに結華を見つけた

「早く乗れ。」

「お邪魔します。」

「どうぞ。」

結華は借りてきた猫のように
おとなしかった

「いつ着替えたの?」

「さっき結華と別れてから車の中で。」

車の中で着替えたので
きちんと着れていないだろう。

「家どこだ?」

「次の角を左に曲がったとこ。
親に見られたらマズいからここでいいよ。
せ、…裕平さんありがとう。」

「気つけろよ。
結華また明日な。」

……俺の家と近かったんだな

結華をおろし家に帰った

帰り着くと携帯を机の上に置き
メガネをはずしてシャワーを浴びた。

あがってソファーに座り机に目をやると
携帯が光っていた
見てみるとmailが来ていた。

“裕平さんへ”
送ってくれてありがとう。
突然告白してごめんなさい。

結華らしい内容で思わず微笑んでいた

…なんて返事をしよか


“結華へ”
突然の告白ありがとう。
明日からテスト頑張れよ。

…送信っと
明日の準備するか。


携帯を置きパソコンに向かった。