~裕平side~
最近俺は朝からシャワーを浴びる。
上がってからも鏡と睨めっこをする。
「はぁ~。面倒くせぇ……。
よしっ。今日こそ大丈夫だ。」
身支度をすませ車に乗り込んだ。
学校はいつも6時につくようにし
朝一で仕事を始める。
ポットのお湯を沸かしコーヒーをいれ
授業の準備をする。
『おはよう。今日も早いね。』
「石澤先生おはようございます。」
『おはようございます。
2人とも早いですね。』
「森田先生おはようございます。」
石澤先生と森田先生は生徒たちから
信頼されていて俺の目標だ。
午前の準備を終わらせ時計を見ると
8時前だった。
後10分すれば職員会議だ。
すっかり冷えたコーヒーを飲み干すと
会議室に向かった。
生徒たちの話し声が聞こえてきた
明日から中間テストが始まるので
各時間ごとの試験官を決める。
俺の担当は1-Cと3-Gそして2-Aの
3クラスだ
会議室から進路室に戻る途中
後ろから声をかけられた。
今日も来ましたか。
今日は完璧にしてきたから俺の勝ちになる
「あっ。また寝癖あるょ。」
「えっ!!朝からシャワー浴びてきたのに!?」
手探りで探すがない
「寝癖ねぇじゃん。」
言い終えると背伸びをして寝癖を触る
今日こそ俺の勝つはずだったのに…
背伸びをして俺の寝癖に触るコイツは
なぜだか俺だけに挨拶をしない。
挨拶をしないかわりか
会う度寝癖を探される。
………にしてもなんでコイツ
寝癖見つけるんだ。
他の生徒や先生からは気付かれないのに
不思議だ…
杉本結華…手強いヤツだ。
廊下の鏡で寝癖を見てると
鏡越しに石澤先生が
『また見つけられたの?結華やるね~。』
「今日こそは大丈夫だと
思ってたんですけどね……。」
ため息混じりに話す
『先生髪短いから
見分けつかないんだけどね~。』
言われてみると確かにそうだ
朝寝癖を直すのが面倒だから
月1で髪を切ってる
「昨日切りに行ったんですけどね…。」
昨日切ったばかりなのに
もぉすでに見つけられてるから
今月も気が抜けない。
進路室に戻り授業の準備をしてると
車に忘れ物してることに気付いた
忘れ物を取って戻ってると
重たそうに荷物を持ってる生徒がいた
重そうだな…。少し持ってやるか。
早歩きで追いつくと
小林と馬場。そして杉本だった
小林と馬場は俺に気付いたようだったが
杉本は手に持ってる資料に気をとられて
気付いてないようだった。
杉本のを先に持って
小林と馬場のを持つと
「さすが岡本先生。ありがとぅ~。」
「紳士だねぇ~。」
「まぁな。惚れるなょ?笑」
「惚れるかも~。笑」
小林と馬場と話してると杉本は
鳩が豆鉄砲食らったような顔をしてた
その顔がなんだか愛おしく感じて
イジメてやりたくなった
「杉本はお礼も言えないのか。」
「ありがとうございます。」
その時胸がドキッとした気がした
そんな事はない。
と自分に言い聞かせた
教室ついて教壇の上に資料を乗せると
杉本はすぐに自分の席に戻った
小林と馬場に礼を言われ教室を出ると
「岡本先生。」
呼び止められ振り返ると杉本が走ってきた
「どうした?」
「これさっきのお礼。ありがとうね。」
言いながら飴とチョコを渡された
甘いもの好きの俺としては嬉しいお礼だ。
「おっ。サンキュー。」
受け取りスーツのポケットに入れる
「早く教室戻れょ。」
後ろ手を振りながら職員室に戻った。
ーーーーーー
午前の授業が終わり昼食をすませ
午後からの準備をしていると
急な来客が来て準備どころではなかった。
掃除を知らせる音楽が流れ始めると
来客者は戻っていった
そこから準備していると
横から声をかけられた
掃除が終わるまでに急いですませなければ
軽く話すと準備に集中した
掃除が終わる5分前になんとか終わった
「間に合った!!」
思わず大きな声を出しながら
上に手を挙げていた
「「お疲れさま~。」」
机の上を片付けていると
小林はゴミを捨てに行っていた
手を洗ってるとジャージ姿の杉本がいた
なぜか杉本を見ると
ドキドキしてる俺がいた
……俺今日どうかしてる。
教材を持って1年の教室に向かうと
杉本たちが目に入った
「次俺の授業なんだからケガすんなょ。」
いつの間にか声をかえていた
1年の授業が終わると職員室に戻らず
そのまま2年の教室に向かう。
体育から戻って着替えを
すませた生徒たちが教室に入ってもいいと
教えてくれた
教壇に座ってると何人かの生徒に囲まれ
話しをしてた
廊下から話し声が聞こえると
女子3人がジュースを飲みながら
入ったため注意をすると
杉本だけ雰囲気が違った
授業が始まってからも
心ここにあらずと言う感じだった
「杉本。話し聞いてるか?」
「ひゃいっ。」
………なんとも間の抜けた声だった
可笑しくて俺も笑いそうになったが
必死に堪えた。
授業が終わり教室から出ると
俯きながら歩く杉本が目にとまった
掃除が終わった時までは
俺の顔を見ながら話していたのに
今は話しかけても俯いたまま答えてる
「顔赤いぞ。熱があるのか?」
「なんともないです。それじゃ。」
やっぱりいつもと違う
疑問に思いながら職員室にもどった。
