「どこに行きたい?」

「うーん…。モールは昨日行ったし‥。
裕平さんに任せる。」

車に乗ってからもなかなか
行く場所が決まらなかった。

「任せられてもなぁ‥…。
結華歩くの好きか?」

「好きか嫌いかだったら好きかな。
なんで?」

「キレイな場所があるから
とりあえずそこに向かうぞ。」

エンジンをかけて動き出した。

…どこに行くのかな。

質問しても答えて貰えない気がして
聞かなかった。


ーーーー

「ついたぞ。起きろ。」

「ん…」

目を開ける。また眠っていたようだ

「そんなに俺といるの退屈か?」

「そんな事ないよ。
ただ裕平さんの車に乗ると眠たくなる…」

車を降り背伸びしながら言う

「隣で気持ちよさそうに眠られたら
こっちまで眠くなるよ。」

裕平も背伸びをする

辺りを見回すと丸池公園だった。

「池がキラキラ輝いてキレイ~。」

「だろ?散歩するか。」

結華の手をとり歩き出す。

並木道を歩くとそよ風が吹いた

「気持ちいいね~。」

「あぁ。よくここで
ジョギングしてるんだ。」

「裕平さん運動好きなの?」

「ストレス解消になるからな。
歩くの早くないか?」

「大丈夫。って言いたいところだけど…
少し早いかな…。」

裕平は結華の歩くスピードに
合わせながら歩く。

「疲れない?」

「大丈夫。俺足長いから。」

裕平が得意げな顔で話す。
その姿が子どものようで笑っていると

「なんだ?」

「裕平さん私より年上なのに
たまに子どもっぽく見える。」

「結華の前だからだ。」

「?」

裕平の言おうとしてる事が分からなかった

「結華といるときは
自分を装わなくていいんだ。
俺がしたい行動をしてると
先生の時の俺とお前といる時の俺では
違うんだ。」

かみ砕いて言ってくれたはずなのに
わからずにいると

「お前といる時の俺が本当の俺って事だ」

「なるほど。…っ。」

ようやく意味がわかった

「先生の時の裕平さんも好きだけど
子どもっぽい事する裕平さんの方が好き」


「ありがとう。俺も結華が好きだ。」


池の周りを散歩した

「疲れてないか?」

「少し喉が渇いた…」

「ならそこのベンチに座っとけ
飲み物買ってくる。水でいいか?」

「うん。」

ベンチに座り裕平を待ってると
足下にボールが転がってきた。

誰のかな‥…

手に取り辺りを見回すと
2才くらいの男の子が歩いてきた

「これ君の?」

男の子は笑顔で頷いて手を差し出した

「どうぞ。」

ボールを渡す

『すみません。はーくんありがとうは?』

お父さんらしき人に言われ頭をさげた。

「どういたしまして。」

『ありがとうございました。』

男の子はお父さんに抱かれながら
手を振っていた。

「可愛かったなぁ…」

ベンチに座り親子が歩いて行った方を
眺めてると頬に冷たさを感じた。

「冷たぃっ。」

ミネラルウォーターを手に持った裕平だ

「さっきの子可愛かったな。」

「子どもはみんな可愛いんだよ。」

「お前にもあんな頃があったんだよな~」

ミネラルウォーターを渡せれ一口飲んだ。

「裕平さんこそ子どもだった頃が
あったんだよね~。
今でも子どもっぽいけどね。」

笑いながら話をしてると裕平が時計を見た

「そろそろ12時だ。
昼飯食いに行くか。」

「うん。」

返事をしたあと裕平のお腹がなった。

「お腹の音面白いね」

笑いながら
車に戻りお昼を食べに行くことにした。


ーーーー


近くにあったファミレスに行くと
家族連れやカップルなどでいつも以上に
にぎわっていた。

なんとか席につけた。

「なにがいい?」

「俺はサラダとカレードリア。」

裕平はメニューを見ずに言った。

「メニュー覚えてるの?」

「あぁ。ただしこれしか知らないがな。」

「そうなんだ。」

「結華は決めたか?」

どれにするか迷った

「うーん…。カルボナーラにする。」

注文をし料理を待っている間話をする。

「次どこ行きたいか?」

「モールに行きたい。」

「昨日も行ったろ?」

「行ったけど裕平さんとも行きたい。」

誰かに見られる可能性もあるが
どうしても行きたかった。

「ダメかな?」

「ダメじゃない。じゃぁモール行くか。」

食事をすませモールに向かった。