大好きなもの。
私にとって大好きなものは野球しかない!!
だから、高校に入ったら野球部のマネージャーになって甲子園目指すんだっっ!!


なんて…
現実はそうはうまくいきませんよねー…泣






〜高1春〜
「先生!!田島香菜、野球部マネージャー希望ですっ!!」
「田島香菜…野球部希望な。」
「はい!!」
「んー…ま、まぁ頑張れよ」
「はい!!…?」
どうしたんだろ先生?
汗かいちゃってるけど…まぁ、いいや。




その日の放課後、私は早速野球部に行った。
グラウンドの奥にある部室へあしを運び、勢いよくドアを開けて挨拶をした。
「1年、田島香菜。野球部マネージャー希望ですっ!!」
て…あれ?
だ、誰もいない…
「ど、どうゆうことじゃー!!!!」
私はまっすぐに野球部の顧問の秋本先生のところに行った。


先生はのんきに紅茶を飲んでいた。
それどころじゃないよ!先生!!
「先生!!」
「!?…ゴホッゴホッ」
先生は紅茶を噴き出してむせていた。
「な、なんだ?…えっと…」
「田島香菜ですっ!!…て、そんなのはどーでもいいんです!!」
「ど、どうした?」
先生は目を丸くして私を見た。
「なんで、放課後なのに野球部員が1人もいないんですかっ?」
眉間にシワを寄せて言った。
「なんでと言われても…」
眉間のシワが深くなるのが自分でもわかる。
「はぁ…」
先生がため息をつく。
な、なによ?なんでため息つかれなきゃいかないのよ。
「田島…うちの野球部は、まぁ、そこそこ強いのは知ってるよな?」
「はい」
そりゃ知ってるよ!!
「昔は、な…」
「…?」
先生は、何を言をうとしているんだろう?
「野球部に部員は、いる。」
そうだ!!本題はこれだ!!
「じゃ、なんで練習してないんですか?」
「みんなやる気がないんだよ」
「え?」
やる気が…ない?
「あ、でも、あいつらは最初やる気あったんだぞ?だが…」
だが…?
「去年…うちは、順調に上にのぼって、県大会に行ったんだ。」
先生は話を続ける。
「練習も毎日頑張って…甲子園だって夢じゃないって誰もが思ってた。でも、その試合の前に暴力事件が起こってしまったんだ。」
「…!?じ、じゃあ…」
「もちろん、試合出場は取り消しになって…しかも…うちのエースだった高橋が、事件に巻き込まれて死んでしまった。」
え!?高橋って…高橋直輝?そんな…亡くなったって…
「部員は今までの努力が水の泡になったのと、部員をなくして傷ついてしまったのかな。それ以来、みんな部活をしなくなった。」
「そんな…」






そんなことがあったなんて知らなかった。正直ショックだった。
私は学校帰りにある丘に寝そべって空を眺めていた。
今日の空は、雲がゆっくりうごいてる。
「野球…できないのかなぁ…」
私はゆっくり目を閉じた。
思い浮かべる。
真夏の空に入道雲
野球日和
皆で甲子園
ってゆーのが夢だったのになぁ…そのとき、私の頬に一粒の雫が落ちてきた。
「あれ…?」
次第に、その雫がいっぱい落ちてきて、やっと気づいた。
「雨だ!?」
やば…濡れちゃうー!!
あれ…?今まで落ちてきた雫が一粒も落ちてこない…。
え…でも前は降ってるよ?
上を見上げると、傘が私を雨から隠してくれていた。
「君…大丈夫?」
え?
声のするほうを見ると、そこには、傘をさしてくれている1人の男子がいた。
同じ学校の制服だから同じ学校だろうとすぐにわかった。
「あ!!えと…」
「はい、傘使いなよ」
「えっ…でもー…」
この人傘これだけじゃないの?そしたらぬれちゃうよ…
「遠慮しないで?」
「でも、あなたが濡れちゃ…」
「あ、大丈夫だよ?家すぐそこだから」
と、爽やかに笑いながら走って行ってしまった。
なんなんだ…今の人…?
傘借りてしまった!!どうしよ…って…
「名前聞くの忘れてた!!」
まぁ、いっか。いずれ会うだろう…







次の日、私は先生のところに行って、野球部の名簿をもらってきた。
どうせ無理だよって言われたけど、私は絶対諦めたくないんだ!!
「えっとー…まずは2年生からかな!!」