お父さんが死んでから1年が経ち、私は5歳になった。

お兄ちゃんは10歳になっていた。

お父さんが死んでから私たちの家は金銭的に厳しくなり、借金にまみれていた。

お母さんは体がとても弱いので昔は働いていなかったけど、お父さんが死んでからは働くようになった。

そのためか……すぐに体調を崩すようになり、常に顔色が悪く、どんどん痩せていった。

私とお兄ちゃんも自分たちにできることを精一杯やっていた。

おばあちゃんとおじいちゃんはすでに他界しているから、誰かに助けを求めることすらできなかった。



そんなある日

お母さん1人では私たちを養っていけなくなったので、私とお兄ちゃんのどちらかを捨てると言われた。

私はまだ小さいからという理由でお母さんと暮らすことになり、お兄ちゃんが捨てられることになってしまった。

お兄ちゃんが捨てても戻ってこないように、お兄ちゃんが自ら家を出ていくまで、お母さんはお兄ちゃんにご飯を与えなかった。


私がご飯を食べて自分の部屋に戻ると、お兄ちゃんが私のイスに座っていた。

お兄ちゃんが捨てられるということが決まってからなお兄ちゃんとは口を聞かないようにお母さんに言われていたので、少しドキッとした。