息を潜めながら、白い肌に、ゆっくりと近付いた。
前髪をそっとかきわけてやり、額から唇、首筋まで優しく口づけると優実の吐息が髪にかかった。
『くすぐったいよ。』
微笑む頬が少しずつ赤く染まる。
僕に応えるように変わってゆく、一つ一つの表情が、更に愛おしくさせて、互いの身体をほてらせた。
額から足先まで口づけて、湿った肌が重なると、互いの汗を混ぜ合わせ、気の済むことも知らず愛し合う。
あの時、僕は、優実の髪を、肌を、声を、心を、全て抱きしめたつもりになれたが
今は、触れることも躊躇ってしまう程か細くなった優実には、伝わっていたのだろうか。
暖かい部屋の中で突然冷たい水に触れるような、裂けるようで、慣れてしまいそうな複雑な思いが僕を纏った。
全身で、こんな狭く小さな心でも、精一杯愛していた。
時には厄介に感じて、なのに一番に気掛かりで。
こんな、僕の自己中心的で、一方的な愛情でさえ受け止めてくれていたことに気付くまでに、君の命は短くて、はかなかった。
もう一度、今度は、君が壊れてしまわないように、優しく口づけたい。
蛇口から流れ出た、ぬるくて甘ったるい水が、喉を潤してくれると、妙なもどかしさを感じて
壁に掛けられた画材を破り捨てた。
自分の中で強く揺れ動き、渦巻いてゆく醜い感情を、古いキャンパスに塗りたくると
雪景色が、どんどんと、濁った色を見せる。
独占欲は、欲張り過ぎて濁った絵の具のようで
色の混じった、澄み切れないビー玉のようだと思った。
前髪をそっとかきわけてやり、額から唇、首筋まで優しく口づけると優実の吐息が髪にかかった。
『くすぐったいよ。』
微笑む頬が少しずつ赤く染まる。
僕に応えるように変わってゆく、一つ一つの表情が、更に愛おしくさせて、互いの身体をほてらせた。
額から足先まで口づけて、湿った肌が重なると、互いの汗を混ぜ合わせ、気の済むことも知らず愛し合う。
あの時、僕は、優実の髪を、肌を、声を、心を、全て抱きしめたつもりになれたが
今は、触れることも躊躇ってしまう程か細くなった優実には、伝わっていたのだろうか。
暖かい部屋の中で突然冷たい水に触れるような、裂けるようで、慣れてしまいそうな複雑な思いが僕を纏った。
全身で、こんな狭く小さな心でも、精一杯愛していた。
時には厄介に感じて、なのに一番に気掛かりで。
こんな、僕の自己中心的で、一方的な愛情でさえ受け止めてくれていたことに気付くまでに、君の命は短くて、はかなかった。
もう一度、今度は、君が壊れてしまわないように、優しく口づけたい。
蛇口から流れ出た、ぬるくて甘ったるい水が、喉を潤してくれると、妙なもどかしさを感じて
壁に掛けられた画材を破り捨てた。
自分の中で強く揺れ動き、渦巻いてゆく醜い感情を、古いキャンパスに塗りたくると
雪景色が、どんどんと、濁った色を見せる。
独占欲は、欲張り過ぎて濁った絵の具のようで
色の混じった、澄み切れないビー玉のようだと思った。
