その後、米倉と意気投合した光は、楽しそうに盛り上がっていた。
すぐに仲良くなれるタイプの2人を何となく見ながら、同じように羨ましそうに2人を見るまりやと目が合った。
「何?」
「え? あ……」
何か言いたそうにしてるまりやに、なるべく普通に話しかけたつもりだったけど、逆に困らせたみたいで、沈黙が続いた。
「俺は、松坂大翔。よろしく」
少し素っ気なかったかと気にしつつも、少しでいい。
まりやが俺のことを覚えてるか確かめたかった。
だから、自分から名乗ったのに、一切反応はなし。
やっぱり、名前聞いても思い出すわけないか……。
苦笑気味に笑って、静かに息を吐いた。
「私は……」
そんな俺には気付かないまりやは、決めたようにハッキリとした口調で、自分の名前を言おうとしていた。
「知ってる。藤沢まりやだろ?」
知ってるはずのない名前を俺が口にしたことで、まりやは驚いた顔をしていた。

