「まーちゃんが帰ってくるのずーっと待ってたの」
ニッコリと優しい微笑みは、可愛らしさの中にやっぱりどこか大人の雰囲気がある。
「私を待ってたってどうしたの?
そういえば、お隣さん引っ越しみたいだね」
用意されていたスリッパに足を入れて、リビングに入る。
私の後をついてきたお母さんは、いいことがあったのかずっとご機嫌。
いつもニコニコしてるけど、こんなに機嫌がいいのは珍しいな。
「お母さん、どうしたの?」
気になって訊いた私に、待ってましたとばかりに瞳を輝かせる。
「あのね、実は……留美ちゃんが戻ってきたの!」
留美ちゃん……?
聞き覚えのない名前に、私は首を傾げた。
「ほら、ヒロ君のお母さんよ」
ヒロ君……?
反対にまた首を傾げた。

