学校からの帰り道。
自分の家を目の前にして、私の足は止まった。
隣の人、引っ越し……?
幼なじみだった大くんが住んでいた家の前に、引っ越し業者のトラックが停まっていた。
以前住んでた人が引っ越したばかりなのに、今度はどんな人なんだろ。
そんなことを思いながらも、自分の家へ入る。
「ただいまー」
パタパタとスリッパの音を響かせて、可愛らしい人が私を出迎えてくれた。
「まーちゃん、お帰りなさい」
クリッとした大きな目、私と同じ白い肌。
同じ茶色のセミロングの髪は、内側に綺麗に巻かれていて、童顔の彼女によく似合っている。
花柄のフリルのエプロンをつけて、とても子供がいるように見えない
レースやフリルがついた服を好んで着ているこの人こそ私のお母さん。
藤沢 美奈穂(フジサワミナホ)
「お母さん、ただいま」

