「まりや、ごめん! 今日買い物行こうって約束してたけど、さっき親父からメール来て、人手足りないから店手伝ってほしいって言われてさ」
私の所に来て早々、謝る栞に首を横に振る。
「大丈夫。今日、特売日で忙しいんでしょ?
私のことは気にしなくていいから」
「ほんとごめんね! 今度、買い物来た時はサービスするからさ!」
もう一度謝って、慌てて教室を出ていく栞に手を振る。
栞の家は、おじいちゃんの代からやってるお肉屋さん。
商店街の中にあるお店で、たまにこうして家の手伝いをしてるみたい。
多分、栞のフレンドリーな性格は、小さな頃からたくさんの人と接してきたからじゃないかなって思う。
おじさんもおばさんもすごくいい人で、買い物に行くといつもサービスしてくれて、
惣菜も手作りで美味しいものばかり。
思い出したら急にお腹が空いてきて、
今日のお昼ご飯は何だろう、なんてのん気に考えていた。
まさか、この後……
予想もしない出来事が起こるなんてことも知らずに。

