「風邪……移っちゃうよ……?」
さらに困った顔をするまりやは、こんな時でも自分より俺の心配をしてくれる。
これだから、こいつから目が離せないんだよ。
「いい。お前の風邪なら俺がいくらでももらってやる」
クスクスと笑いながら、新しい冷却シートをまりやのおでこにそっとのせる。
ひんやり感にビックリしたまりやが、一度だけ目を閉じて、ゆっくりとまた目を開けて俺を見た。
「今日はずっとここにいるから、安心しろ」
「……うん。大翔君、ひとつだけわがまま言ってもいい?」
滅多にないまりやのわがままに何を言われるんだろうと待っていると、掛け布団の脇からまりやが手を差し出してくる。

