「うっせーんだよ。グダグダ言わずに覚悟決めろ」



拳を繰り出す体勢をとった俺に、ヒッ……なんて言いながら祥吾が目を力いっぱい閉じる。



勢いにのせて、拳を差し出すけど、祥吾の顔の前でピタッと止めて、ニヤリと笑う。



「バーカ」



中指で祥吾のおでこを弾くと、最高にいい音が鳴った。



「い゛っってぇ~~!! 今のマジで恨みこもってたし!

絶対に俺のこと許してないだろ!!」



おでこを押さえて大袈裟に騒ぐ祥吾は、涙目で俺を睨んでくるけど痛くも痒くもない。



「よくわかってんじゃねーか。

これからは心を入れ直して、自分に正直に生きることだな」



「まったく、ヒロには一生敵わない気がしてきたよ。

これから俺なりに頑張ってみる……ありがと、ヒロ。

じゃ、また学校で」



吹っ切れたような明るい笑顔で、手を振りながら祥吾は帰って行った。