「ヒロって案外騙されやすいね。

残念なことに、この中に証拠となるデータなんて1つも入ってないんだよねぇ……」



データが入ってない……だと……?



俺に散々と言っていいほど、意地悪い顔ばかり見せてきた祥吾。



最後の最後で最高に意地悪い顔で笑った祥吾に顔が引きつる。



「ああでも言わないと、ヒロは泊めてくれそうになかったしね。

最初から2人が同居してること言うつもりなんてさらさらなかったし~。

俺って、超いいヤツでしょ?」



俺って偉いでしょ? みたいなノリで聞いてくる祥吾に今までで一番ムカつきを覚えた。



「何がいいヤツだ……。ざけんなよ、てめぇ……!

よし、決めた。1発殴らせろ。そうじゃなきゃ、俺の気が済まない」



ポキポキと指の骨を鳴らす俺に、祥吾は後ずさりする。



「マジモード全開じゃん。

俺、この顔気に入ってんだから、殴るのだけは勘弁してよ!」