「いろいろと迷惑かけたけど、お世話になりました。

……まりやによろしく伝えてよ、ヒロ」



話し合いのあと、安心したのか俺の腕の中で眠ってしまったまりやを部屋まで運んだ俺は、玄関で祥吾を見送ることに。



「ああ。散々なくらい邪魔してくれて、この仕返しはいつか100倍にして返してやるよ」



口角をあげて笑った俺に、ゴソゴソとポケットからスマホを取り出す祥吾。



何だと思って見ていると、今度は祥吾がニッと笑う。



「ヒロ覚えてる? 俺が2人の同居生活バラさない代わりに居候させてもらってたの」



そうだ。こいつはそれを交換条件に俺を脅してきたんだった。



記憶の片隅に追いやっていた大事なことを思い出す。



「お前……まさかバラす気じゃねーだろなぁ……」



自分に素直になろうって決めた直後の祥吾に疑いの目を向ける俺に、こいつはケラケラと笑い出す。