家に着いてからまりやを部屋に運んでベッドに休ませると、その足ですぐに消化の良さそうな物と飲み物を買いに出る。
買い物を済ませて、急いで戻ってくると、家の前には1つの影があった。
そいつは俺に気付くと、曖昧に笑って表情を硬くする。
「……何の用だ」
「相変わらず冷たいね、ヒロは。荷物取りに来たんだよ。
兄貴にいい加減に帰ってこいってまた説教されてさ。
俺の顔なんて見たくないだろうけど、とりあえず中に入れてくんない?」
1週間しか面倒見ないと言った俺の言葉をちゃんと覚えてた悠二は、約束を守ってくれたらしい。
「……入れよ」
無言で玄関ドアを開ける俺は、目で家の中へと促す。
1階の客間を使っていた祥吾は、少量の荷物を取りに行ってすぐに玄関に戻ってくる。
「……俺が心配することじゃないかもしれないけど……あいつ、大丈夫なの?」
2階へ上がる階段を見つめて、祥吾が聞くのはまりやのこと。
まりやが倒れたこと、自分にも責任があると感じてるのかもしれない。
「病院に行って薬ももらったし、熱が下がって食事もちゃんとできるようになれば、すぐに回復するだろうって」
「そっか……。よかった……まりやの体調が悪くなったのは、明らかに俺のせいでしょ。
これでも、責任感じてんだよね。俺があんなこと言わなければって……。
今さらこんな話しても、どうにもならないことだけどさ」