まりやが走り出して、ずぐに追いかけたけど、人混みの多さに見つけることができなかった。



まさか、祥吾の奴が本気でまりやに告白するなんて思ってなかった俺は、見るからに動揺してたまりやを支えてやることができなかった。



いちばん近くにいたのに、ただ聞いてるだけで、何も……。



まりやを見失ってから、すぐに雨が降り出してきて、俺たちも遊ぶなんて雰囲気にはならず、そのまま解散することになった。



「大翔、わかってると思うけど、まりやちゃん……かなり動揺してたし、ちゃんと様子見てあげなよ。
祥吾があんなこと急に言いだしたのにはオレも驚いたけど、まりやちゃんの彼氏はお前なんだから。

不安な気持ちちゃんと聞いて拭ってあげて。
それができるのも大翔だけだから。

とりあえず、あのやらかした奴は、連休の間だけオレの家に泊まらせることにしたから、あいつのことは気にするなよ。
じゃ、また学校でな」



ポンッと俺の肩を叩くと、光がうな垂れる祥吾を連れて駅に向かっていく。



「松っちゃん、まりやのこと頼む」



短くそれだけ俺に伝えた米倉も、まりやに対して何もできなかったことを後悔しているのか、肩を落として駅に向かって歩いていった。



その背中を見送り、今の俺に何ができるんだろうと思った。