同じ学校に通っていても、会うことがなかった。
探せばすぐに、彼女のことがわかったかもしれない。
でも同名って可能性があるから、変な期待は持たなかった。
「なぁ、やっぱさぁ、まりやちゃん可愛いよな」
ぼやくように呟く光に、眉間にシワが寄る。
「お前なぁ……いい加減にしないと本当にいつか痛い目見るぞ」
「え~? そうかなぁ?
なぁ、オレのことよりもまりやちゃんだよ!
藤沢まりや!」
藤沢……まりや……?
1年たった今日、初めてあの子の本名を知った。
藤沢まりや。
俺の家の隣に住んでた女の子と同じ名前。
少しおっちょこちょいで天然。
照れ屋で、小さな可愛い女の子。
俺が探していた“まりやちゃん”は、思わぬ形で俺の前に現れた。