「松っちゃん、タニー、おっはよう!」



相変わらず、お互いに何もしゃべらない2人の背中をバシッと元気よく叩いて活を入れる栞。



「米倉……力入れすぎ……」



「いって……マジで女なの?」



ほとんど同じテンションで話す2人に、栞の眉根が寄る。



「松っちゃんのは褒め言葉、タニーのは侮辱と見なす。タニー君、あとで覚えてろよ!」



もう一度、谷山君の背中をバシッと叩いて、私の手を取ると迷わず中に入っていった。



「あれ、宮内君は?」



辺りを見ても姿が見えない宮内君を探すと、隣に来た大翔君が無言で指を差す。



それを目で追って見てみると、数人の女の人に囲まれた宮内君がいた。



「すごいモテぶりだね……」



「言いだしっぺのくせに、あのバカは何やってんだ。デレデレしやがって、鼻の下伸びすぎだ」



どこにいても、女の人に囲まれる宮内君は、女の人たちに愛想を振りまいていた。