「暴力反対!」



「お前が茶化すからだ。だいたい、叩けと言わんばかりに出てるその広いおでこが悪いんだろ」



わざとらしく叩かれた場所を擦る光は、崩れてもいない髪型を気にして直し始める。



「だからお前の機嫌が果てしなく悪かったわけね。納得だわ。

いくら祥吾でも、大翔とまりやちゃんの邪魔するのだけは……オレも許せないね。

やっと幸せを掴んだのに、その矢先に邪魔するって、チョー嫌な奴じゃん」



「やっとって、人を不幸者みたいに言うな」



「まぁまぁ。細かいことは気にしないでよ。
前にも言ったけど、お前が女嫌いじゃなくて本当に良かったと思ってるんだって。

中学時代がまぁ……あれだったから、女嫌いだと思い込んでたけど、オレは今の大翔の方が気に入ってんだよね。

だからさ、お前には頑張ってほしいってことで、行こうぜぃ! 夏を先取りな温水プールと遊園地にご招待~」



どこから出てきたのか、チケットのようなものをピラピラと見せて、ニッと笑う。