「光が悪かった」
親友の代わりに謝った俺に、徐々に彼女の視線が上がってくる。
「あ……、大丈夫……」
短くそれだけ言うと、絡まるお互いの視線。
澄んだ綺麗な瞳が俺の体を動けなくする。
それでも、言葉を押し出すように口を開く。
「どうかしたか?」
何も言わずに、俺のことをずっと見ていた彼女に、動揺を気付かれないよう、なるべく普通に話しかけた。
「う、ううん……何でもないの」
恥ずかしそうに目を逸らし、俯いた彼女。
――キーン、コーン。
SHRが始まる5分前の予鈴が鳴る。
途端にザワザワしだす教室。
俺もそのまま自分の席へ戻ろうとした。

