――ドンッ。
後ろからの軽い衝撃に体が少しだけ揺れる。
見ると、腰の辺りには細くて小さな手が震えるように繋がれていて、背中には小さな温もりを感じた。
「1人にしてくれって、言っただろ……」
「……やだっ」
できる限り優しく言ったつもりなのに、まりやらしくなくわがままを言って俺を困らせる。
「頼むから……言うこと、聞いてくれ……」
「……いや。大翔君といたいの。一緒に……いたい」
ぎゅっと力いっぱい抱き着いてくるまりやに、これ以上は何を言っても無駄だと、無理にでも引き剥がすと壁に体を押し付ける。
「何なの……お前。今は近付くなって言ってんのに……なんでわかんねーんだよ」
自分を必死に抑える俺に、目に涙をいっぱい溜めて、泣かないように唇を噛みしめて我慢してるまりやが、初めて俺を見上げて睨んでいた。
いつでも真っ直ぐにぶつかってくるまりやがこんな顔して俺を見るのは初めてで、目を逸らそうとした……その時だった。