「わかってるなら、さっきの状況は何なのか、説明してみろよ」



「何そんなに怒ってんの? ただ、まりやが転びそうになったのを支えようとしたら、ああなっただけで……別に深い意味なんてないし」



2人の威圧的な空気は、口を挟める状況じゃなかった。



大翔君にちゃんと説明しなきゃいけないのに、こんなに怒ってる彼を見るのは初めてで、声をかけられなかった。



「……今はそういうことにしといてやる……。

次、こいつに何かしたら、その時はわかってんだろうな……」



「わかってるよ。何もしないって」



うつむき加減に返した谷山君の答えを聞いた大翔君は、無言のままリビングを出て2階に上がって行ってしまう。



そんな大翔君の様子が気になって仕方ない私は、慌てて後を追って、2階へ向かった。