「俺だって、お前の……こと……」



「え……っ?」



言いかけてやめた谷山君の様子が気になって、体の動きを止める。



さっきまでとまったく雰囲気の違う谷山君に、声をかけることができない。



見つめたままの私に、谷山君の顔が近付いてくる。



何をされるのかわかっていなかった私は、彼の顔が数センチ先に迫ったところで、気付いた。



「まりや……」



「……ゃ……っ」



私は思わず目を固くつむり、顔を横に向ける。



「……何、してんだ……」



静まり返るリビングに、誰の声なのかすぐにわかる、その人の声が割って入ってくる。