「ヒロは……寄り付いてた女子たちを俺がわざと遠ざけてたことは気付いてない。
はたから見たら、俺がやってたことは女遊びと大して変わらないことだったし。
あえて言う必要なんてないんだよ。
そんなことしたら、俺のイメージが崩れるじゃん。
それに面と向かって、ありがとうなんて感謝されたくない。
だから、ヒロに余計なこと言うなよ」
この時、初めて本当の谷山君を見た気がした。
私が知ってる彼は、小さい頃の祥吾くんのままだから。
本当は、思ってることと反対のことを言ったり行動に出したり、自分という人間を素直に表に出せないのかもしれない。
とても不器用な人なんじゃないかって思えた。
「ヒロの過去を聞くと、可哀相だって口を揃えて言う女はいくらでもいて、でもそれだけだった。
好きだ、告白して付き合いたいと口では言っても、恐らく実際に彼女っていうポジションを手に入れれば、満足はできるけど不安や嫉妬、自分だけを見てほしいっていう欲に支配されて、結局は遠ざかっていくだけだったと思うよ。
外見だけしか見てなくて、面倒なことはごめんだって言う奴ばかりだったのに……。
どうしてお前は……違うんだよ……」
私の顔の横に手をついていた谷山君が、揺れる瞳を私に向けて、苦しそうな声を絞り出す。
その声に改めて、ソファに押し倒されたままだったことに気付いて、慌てて逃れようと必死になって体を動かす。

